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奥地へ

車1台がなんとか通れる舗装されていない小道の奥に、今年に入って購入した土地があります。
春から夏にかけて勢いを増していた草木の成長が落ちついた頃、わが家から車で20分ほど離れたその土地の草刈りをはじめました。

山梨県北杜市に移住して、まもなく4年が経ちます。
想像していた以上にわたしや家族にとってこの地は相性が良いようで、移住した当初は水が合わなければ、それまで暮らしていた鎌倉にまた戻るかもしれない、なんて考えていたのが嘘のようです。
合わないどころか、豊かでおいしい水の湧く此処と離れられなくなってしまいました。
鎌倉に居たころに見つけた今のわが家とアトリエは、利便性も良く、程よい山麓での暮らしができます。
でもその当時とは、明らかにわたしたちは変わったような気がします。

この4年で山麓暮らしに自信がついていきました。
晴れや雨、霧や雪の日も四季を通してわが家から標高500メートル上がった子どもの保育園へ車で送迎することで鍛えられたのでしょうか。
友人に恵まれたこともあるでしょう。
そして、移住した時はまだ1歳だった娘も来年は小学生となり、心強い一員になったことも大きいです。
そのような経験や出逢いも経て、もっと自然に寄り添いながら、染めて織り、簡素に謙虚に営んでいくための拠点を、野生の地へと駆り立てられているような気がするのです。

わたしの衝動に賛同してくれた夫には、感謝しています。
不動産業をしていた彼が設計もするようになり、そして、行き着いたのはセルフビルドすることでした。
今の家を建築したとき、セルフビルドしている方たちに憧れつつもわたしたちにはできないと、塗装のみを関わった当時との変化でもあります。

ライフラインのない山林に足を踏み入れるという重みを抱きながら、自然を保全していくことを念頭に置いて判断しなくてはいけないこともあります。
実際のところ、自分たちでどこまでできるかはわかりません。
仕事をしながら休日の作業となるので、きっと時間もかかることでしょう。
でも、次の営みに続く奥地への道は存在し、わたしたちはその入口に立っています。

2017年11月11日 | Posted in 綴る |