綴る

残したいという欲深さ

人それぞれに欲望というものがあるならば、わたしには植物の色を残して 身のまわりに置いておきたいという欲望があります。
可憐な花や艶やかな実、風にそよぐ草や青々とした樹木の葉、それらの今をとどめたい-
そんな思いが、これまでずっと草木で糸を染めて織り、布という形にすることへ駆り立てています。

近年、その欲望は染織にとどまらず、標本にしたり、また植物を塩に漬けることで防腐効果を高め、風味を残すことをしています。
昨年に続き今年も、七分咲きの八重桜を塩漬けにしたのですが、今回は白梅酢にも浸して、色の鮮やかさを際立たせました。
そのかわりに香りは半減してしまうのですが、どれだけ色を残せるかの実験でもあります。

いっぽうで、塩だけに漬けていた昨年の八重桜は、色は褪せてしまったものの、しっとりした桜の香りを放ち風情を感じます。

華美もいいけれど、寂もいい。
わたしにとってはどちらも魅力的で残したく、つくづく欲張りだなと自分で思うけれど、この欲深さが活力となっているのは確かなようです。

Date 2018-05-01 | Posted in 綴る |