綴る

巡り合うこと

ここ八ヶ岳山麓では色づいた樹々の葉が落ちていき、日に日に寒い冬が近づいています。
いっぽう家のなかでは、フワフワの毛で包まれた体を丸ませて気持ちよさそうに寝ている猫たちに、わたしまでも温かくなります。

飼い主が猫アレルギーを発症してしまった子、出生したけれど先住猫が多くて居場所がない子、路頭に迷っていた子と、それぞれの事情で各地からわが家にやってきてくれた3匹の猫たちですが、そのなかでも今年の夏に生まれた子猫と唯一の雄猫は相性がよかったのでしょうか。
雄猫に父性が目覚めたのか、甲斐甲斐しく子猫の面倒をみています。
そして子猫もまた、兄なのか父なのか、はたまたお母さんに接するように、全身で甘えているようです。

彼らが身体を寄せ合っている姿を見ていたら、ふと絵本の「100万回生きたねこ」を思い出し、娘の本棚から取り出してみました。
100万年も死なず、さまざまな時代に100万人の飼い主のもとで、100万回も死に100万回も生きた猫が、最愛の白猫に出合って…という「巡り合うこと」を考えさせられるお話です。

わが家の猫たちが100万回生死を繰り返し、ここに辿り着いたかはわかりませんが、巡り合えた彼らがすやすやと眠る温もりを大切に守りたいと思う、深まった秋のことでした。

やはり、あったまります。

参考文献 『100万回生きたねこ』作・絵 佐野洋子/講談社

Date 2018-11-10 | Posted in 綴る |

 

紺色の実

今年も、紺色に熟した臭木の実を採取する時期がやってきました。
標高が高いのは適していないのでしょうか。
以前に暮らしていた鎌倉ではあちらこちらで臭木を見かけたのに、八ヶ岳山麓ではずっと探し、昨年ようやく一箇所見つけることができました。
それは崖の下斜面に4〜5本群生していて、ハーネスを装着してロープで下りようか迷うほど難所なのですが、なんとか高枝切り鋏を使い届く範囲でいただいてきました。
ほんのわずかでも、「今年の実」が収穫できて嬉しいです。

採取してきたら、星型の萼から実だけを集めます。
それは、小さな助手にお願いすることにしました。

夢中になっていた彼女の指先は、もうすでに青く染められていました。

Date 2018-10-31 | Posted in 綴る |

 

視察

一週間後に行う、子どもたちと森の植物染色マップをつくるワークショップ視察のため、ひとり雨の森へ。
霧がかかった樹々のなかで、果てを感じない。

Date 2018-09-29 | Posted in 綴る |

 

益子・土祭へ


久しぶりに家族とともに栃木県益子町を訪れました。
目的はいま開催されている土祭(ひじさい)に、そのなかでも山本八幡宮で展示されている、友人のご主人である橋本雅也さんの作品を拝見するためです。 …続きを読む

Date 2018-09-23 | Posted in 綴る |

 

迎え入れた織機

京都はいいなぁと思うのです。
古都の風情漂う美しい街並みに、歴史ある寺社仏閣、美味しいお店があるから?
もちろんそれらもありますが、だって、西陣があるじゃないですか。
減ったとはいえ、西陣には染織にまつわるお店や工房が集まり、専門の職人さんがいらっしゃいます。
なにか困ったり行き詰まったり、またはこんなものを探している、あれをやってみたい、と思い立ったときに、すぐ相談しに行ける場所が近くにあるって、心強いことです。 …続きを読む

Date 2018-09-10 | Posted in 綴る |

 

「藤井 糸(いと)」です。
わが家に3匹目の猫を迎えました。
それぞれに何らかの事情でわが家にやって来てくれた猫たちですが、今回初めて命名権を得まして、まっ白な毛と無垢な姿に「糸」と名づけました。
(絹)糸に愛着もって接し、一人と3匹のお母さん。
それが、わたしの日常です。

Date 2018-08-18 | Posted in 綴る |

 

残暑お見舞い


残暑お見舞い申し上げます

この夏は、山麓・寒冷地という恩恵も少なく、猛暑に耐えています。
八ヶ岳南麓に拠を移してからクーラーなしで仕事をしてきましたが、なかなか厳しいですね。

雲行きが怪しくなってきました。
程々の雨ではなく、どうやら風雨が強くなりそうです。
天候の変動が激しいときでもあります。
どうぞご自愛くださいますように。

Date 2018-08-08 | Posted in 綴る |

 

種を蒔くこと

昨年わが家の畑に植えた藍から採った 殻付きの種。
両手のひらに挟んでスリスリとこすれば、黒ごまのような種があらわれます。

少し出遅れてしまったものの、なんとか5月中に一年草である藍の種蒔きができました。
10日ほど静まり返った育苗ポットから愛らしい1本の芽が顔を出すと、次から次へと芽が出てきました。
秋から冬にかけて土の中で眠る多年草が 春になり新芽が出てくるのも嬉しいけれど、自ら育て採った藍の種が発芽する様は、なんとも言えないよろこびでした。
また、生命力を信じて見守る多年草と 収穫した種を人の手で土に戻す一年草では、関わり方が違います。
ちょっと大袈裟だけれども、一年草の種を蒔くことは 1から引き受ける覚悟が必要でした。
それでも育てようと思ったのは、やはり藍が魅力的だからです。

藍を育苗ポットから植え替えるために 畑を耕しに行くと、ポツポツと不規則に藍の芽が出ているではありませんか。こぼれ種から発芽していたのです。
そんな自然の賜物もまた嬉しく思います。

ふたたび藍を大きく育てることができれば、生葉で昨年染めた糸やストールに染め重ねてみるつもりです。
山麓に暮らしてから季節の循環をより感じるようになると、すぐの成果にとらわれず、寝かせておいた昨年の色(糸)に 色を重ねてみる楽しみも見出せるようになりました。

Date 2018-06-01 | Posted in 綴る |

 

残したいという欲深さ

人それぞれに欲望というものがあるならば、わたしには植物の色を残して 身のまわりに置いておきたいという欲望があります。
可憐な花や艶やかな実、風にそよぐ草や青々とした樹木の葉、それらの今をとどめたい-
そんな思いが、これまでずっと草木で糸を染めて織り、布という形にすることへ駆り立てています。

近年、その欲望は染織にとどまらず、標本にしたり、また植物を塩に漬けることで防腐効果を高め、風味を残すことをしています。
昨年に続き今年も、七分咲きの八重桜を塩漬けにしたのですが、今回は白梅酢にも浸して、色の鮮やかさを際立たせました。
そのかわりに香りは半減してしまうのですが、どれだけ色を残せるかの実験でもあります。

いっぽうで、塩だけに漬けていた昨年の八重桜は、色は褪せてしまったものの、しっとりした桜の香りを放ち風情を感じます。

華美もいいけれど、寂もいい。
わたしにとってはどちらも魅力的で残したく、つくづく欲張りだなと自分で思うけれど、この欲深さが活力となっているのは確かなようです。

Date 2018-05-01 | Posted in 綴る |

 

桜色の春

この春、娘の保育園の卒園と小学校の入学という節目を迎えました。
両手にすっぽりと抱えられた娘が成長し 小学生になったという喜びと、幼児期が終わったという淋しさ。
そんなちょっと複雑な心境と ピンクにグレーの混じる淡い桜花の色が、しっくり合います。

入学式には、団栗でグレーに絹糸を染めて織った自作のきものと、今回のために青山八木で誂えた 桜色に後染めされた羽織を纏って。

Date 2018-04-07 | Posted in 綴る |

 

花咲く前の

すっかり緩んでいた身体が、キュっと締まる雪景色。

明後日は、娘の卒園式。
そんな余裕ないはずなのに、強制的に静止させられ、
山麓らしいなぁと、この時間をありがたく受け入れます。

八重の花びらのように、思い出の積み重なった花咲く、その前の。

Date 2018-03-22 | Posted in 綴る |

 

縞の難しさと奥深さ

Date 2018-02-25 | Posted in 綴る |