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大人のピンク色

4歳のわたしの娘は、ピンク色が大好きです。
彼女が自分で身じたくをすると、帽子からTシャツにスカート、靴下と靴まで全身ピンク色になり、ギョッとしてしまいます。
「スカート、こっちはどう?」と別の色を提案しても、自分で選んだピンク色コーディネートを貫き、ルンルンと心弾ませている様子です。
いっぽうわたしはモノトーンの洋服を着ることが多く、ピンク色がわたしから消えたのがいつなのか、遠い昔のことで思い出すこともできません。

大人になったわたしが大きく心を動かされたのは、桜の枝で染めた桜色に出合ったときでした。
ほんのり灰色がかった淡い桜の花びら色。
そんなやさしく上品な桜色のきものは、若い方でしたら初々しさのなかにも落ちつきを、逆に年齢を重ねた方には顔映りよく、お召しになっていただけると思います。

しかし今回は、団栗や梅の枝、矢車附子で染めたグレーやベージュの中に、あえて茜染めの鮮やかなピンク色を入れて縞を配してみました。
大人の女性にもピンク色を、と意識して織った反物です。

2016年6月16日 | Posted in 綴る |