反物を織り終えてホッと一息、次に向かうまえに気持ちを切り替えたいときは、織機や杼、糸車など使っている道具を水拭きして、サッパリきれいにします。
今回はそれらの道具に加えて、ふと目に止まった丸まり過ぎて芯が見えない色鉛筆を削って、グラデーションに並べてみました。
FABER-CASTELL社の100色鉛筆は、私が大学に入ったときに母がプレゼントしてくれたものです。
これまで学生時代の課題や、“きもの”のデザイン画を描くときにも使ってはいました。
けれども、どちらかというと整列された色を眺める方が多かったかもしれません。
大切に、といえば聞こえはいいけれど、まったく使いきれていなかったように思います。
そんなこの色鉛筆の運命ががらりと変わったのは、4歳の娘に見つかったときからでした。
娘専用の12色鉛筆はあるものの、多彩な100色を見て、こちらの方が魅力的に映ったのは当然です。
あっという間に所有権は移り、彼女のお気に入りのピンク色はすでに短くなっています。
母に贈ってもらってから、こんなに時間をかけて、色鉛筆を削ったのははじめてです。
もっと早くからいっぱい使って、手入れをしてあげればよかった。
それが、あるべき関係だということは知っていたのに。
独立してから使い続けている織り道具は、当初は木の生々しさがあったものが、いつのまにしっとりと飴色に落ち着いていました。
唯一無二の存在となって、わたしを支えてくれています。
使ってこそ輝きをます道具たち。
この春で18年目の付き合い、これからもよろしくお願いします。
2017年3月12日 | Posted in 綴る |