先日、この夏行うワークショップの打ち合わせのため山梨県立文学館へ行ってまいりました。
ワークショップについては、また改めてご案内します。
打ち合わせ後に、現在文学館で開催されている「手書きのリズム」展を鑑賞しました。
与謝野晶子、芥川龍之介、飯田蛇笏、中村星湖、津田青楓、武田泰淳などの直筆の軸や原稿、手紙が展示されています。
電子文字が主流になっている時代のなかで、手書き文字にあらわれる人となりや暮らしぶりを想像しながら、書面の息遣い(リズム)にわたしは心動かされます。
今回の展示では、とくに与謝野晶子の「百首屏風」と呼ばれる、晶子作の百首が書き埋めつくされた二曲一隻の屏風にじっと見入ってしまいました。
線が細く流れるような文字のなかにも墨の濃淡があって、やはり晶子の芯の強さを感じます。
20代で代表作『みだれ髮』の刊行し、与謝野寛(鉄幹)の妻となり、『源氏物語』の現代語訳を取り組み、また11人の子の母としても大所帯を切り回しながら、新しいことに挑んでいきました。
そんな情熱と母性に溢れ、先進的な女性であった与謝野晶子を彼女の直筆から紐解いていきます。
じっくり鑑賞しておきながら、私人へ宛てた手紙や修正跡のある原稿を見てしまうことに、申し訳ないという後ろめたさはあります。
でもやはり惹かれてしまう!という矛盾から生まれたのが、文字の形跡と息遣い(リズム)を残す「詩布」なのですが、ただ後世にも残す貴重な資料を切り裂く訳にはいきませんものね。
開館30周年記念 新収蔵展「手書きのリズム」
山梨県立文学館
2019年1月26日〜3月24日
2019年3月14日 | Posted in 綴る |