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4月1日


1996年4月1日は、月曜日でした。
その年の3月に大学を卒業したわたしは、念願かなって志村ふくみ先生の弟子となりました。
「おはようございます」と京都の工房の引き戸を開け一歩を踏出した、緊張と希望に満ちたあの瞬間のことは、今でも忘れません。

名ばかりの独立ではあったけれど、自ら鎌倉へ移り、古い戸建てを借りて、そこを自宅兼工房としました。
まだ荷物が片付いていなくても、この日から仕事をスタートさせたいという思いがあって、ちょうど近所で剪定していた金木犀の枝葉をいただいて糸を染めたのが、2000年4月1日でした。

その日から20年が経ちました。
今では、予定日よりも一ヶ月近く早産だった娘の誕生を祝う日となっています。
わたしの人生において、4月1日は特別な日なのです。

そして今年は、どのような状況でも訪れる春に、草木の芽吹きに、いつにも増して心が救われています。

2020年4月1日 | Posted in 綴る |