兆し (2022)
染料/木瓜 白木蓮 胡桃 山法師 他
昨秋、久しぶりに手応えを得る着物地を織ることができたので、年頭の一枚に。
この手応えを確実に自分のものにするためにも、時間の許す限り制作したいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします
兆し (2022)
染料/木瓜 白木蓮 胡桃 山法師 他
昨秋、久しぶりに手応えを得る着物地を織ることができたので、年頭の一枚に。
この手応えを確実に自分のものにするためにも、時間の許す限り制作したいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします
頬を刺すような寒さの中で見た、温かい薄紅色の雲と山々が印象的な新年の朝でした。
本年もよろしくお願い申し上げます
藤井繭子
染料にと、数年前にわが家に植えた高さ50cmほどの梔子6本のうち、収穫できたのはたったの3粒でした。
寒冷地には向かないのでしょうか。
甘い香りの白い花はたくさん咲くのですが、実がこれだけとは……
この寒さにも順応できるように大きく育てばと、梔子の成長を見守りたいと思います。
梔子の実といえば、きんとん。
さつまいもと梔子の実を一緒に煮て、黄色く色づけします。
鮮やかな黄金色は、新年の食卓を彩ってくれるでしょう。
自然の光・色は、人に優しさ、温かさ、安らぎ、そして希望をもたらしてくれると信じて仕事をしています。
新しい年に光が差しますように。
本年もよろしくお願い申し上げます
藤井繭子
「砧打ち」
織りあがった反物の仕上げ。
石板の上に、平く巻いた反物を置き、木槌で満遍なく打つ(叩く)ことで、絹の艶を引き出し、しっとりした風合いにします。
最初の工程
植物と出合い、いただく
友人宅にある白木蓮は、近いうちにばっさり剪定されるとのこと。
その前にいただいてきました。
20年ほど使っている高枝切り鋏は、手慣れたものです。
1996年4月1日は、月曜日でした。
その年の3月に大学を卒業したわたしは、念願かなって志村ふくみ先生の弟子となりました。
「おはようございます」と京都の工房の引き戸を開け一歩を踏出した、緊張と希望に満ちたあの瞬間のことは、今でも忘れません。
名ばかりの独立ではあったけれど、自ら鎌倉へ移り、古い戸建てを借りて、そこを自宅兼工房としました。
まだ荷物が片付いていなくても、この日から仕事をスタートさせたいという思いがあって、ちょうど近所で剪定していた金木犀の枝葉をいただいて糸を染めたのが、2000年4月1日でした。
その日から20年が経ちました。
今では、予定日よりも一ヶ月近く早産だった娘の誕生を祝う日となっています。
わたしの人生において、4月1日は特別な日なのです。
そして今年は、どのような状況でも訪れる春に、草木の芽吹きに、いつにも増して心が救われています。
幼女から少女へ歩を進め
様々な表情を見せてくれる 七つのとき
それはまるで 可憐な花のよう
娘一人、犬一匹、猫三匹とそれぞれに個性ある子たちは、わたしが守る存在。
「攻守」と言いますが、家族はもちろん、伝統工芸に携わる仕事においても、わたしは守ることの方が多いかもしれません。
そのような中でも、攻めることや挑むことも忘れたくない、と心に誓う元日です。
本年もよろしくお願い申し上げます
藤井繭子
藍の中で糸を泳がせていると 液面に玉虫色の泡が立っていく
これは藍がしっかり発酵して 元気な証拠である
海原に浮かぶ島のように見える泡は こちらの動きにどんどん形を変えていく
まるで藍と対話しているようだ
たしかに藍は生きている
古いスチール製の窓枠の窓には 網戸がついていないため 窓を全開にすることはほとんどない
でも アトリエにあるこの窓を 一年のうちでこの時ばかりは開け放つ
虫たちが入ってきたって構わない
金木犀の甘い香りを できるだけ取り込めるのならば
集中して織機に座る、ある程度まとまった時間を確保するために、予定を入れないことも仕事の一つです。
数年前、環境に配慮した洗剤やハンドソープを探していたときに、無意識に選んだものが「Made in New Zealand」だったことが、この国に関心をもった始まりでした。